おとのは ことのは

詩と曲を書いています。

移り季 落とし子の季

風の冷えに

揺り戻しに

ついてゆけぬ

落とし子の季

 

余白を持つ

世界なのに

どこにも入りこめない気

 

街に降り

酒を啜れ

似合わぬこと

幾らでもして

 

馬鹿になるしか

生きるすべは

残されていない

移り季

 

賑わいに酔い

戻る山に

暮れ時は冷え

潔く

 

煌びやかも

堕落もない

風の冷えに

揺り戻しに

 

表世界

忘れてしまえ

眠り落つ時

どれだけ死期に近づけるか

予行の演というものらしい

 

こんな季は

余計に沁む

生きてゆける

気がせぬ

 

街を思い

木々の擦れ

聞くだけでもう

狂いの果て

 

風の冷えは

揺り戻しは

選びの呼び声

落とし子の季