おとのは ことのは

詩と曲を書いています。

繕いの星

幸せになるという言がこの世にあることは

知っているけど

教わっていない

 

例えば戦時の不自由に

比べれば幾らでも思う侭でしょうと

言われてしまえばそれまでだけど

 

私のこの身の周りだけ

見えないように

確実に

不幸の綿が覆っている

 

遠い人たちは尚のこと

手に届く人にも知れない罠

 

自分を生きるという言が出回っていることは

知っているけど

教わっていない

 

許されないような引け目が

物心ついた時からある

 

荒れた家の所為だとばかり

思っていたけれど

兄姉もそんな気はなく

私だけ違う星の子

 

遠い故郷を口にすれば

変わり者ならまだ良し

病と言われる

知っているのよ

そんなことばかり

 

幸せになるという歌が

この世に溢れることは

きっと正しいのだろ

どれだけ数人を押し込めても

 

いつも踏まれる側に立つ

小さくて見えない体

気づいてももらえない命が

ただいるだけで

 

幸か不幸か

そんな話も始まらない

繕いの星