おとのは ことのは

詩と曲を書いています。

もひとつ、チョコレート

そっとなぞるチョコレート

あたたか季節にそぐわずに

儚むだけが世じゃないわ

誰か殴り倒して教えてほしい

 

咳をするたび

背震えるたび

気取ってしまう

それ以外に

うまく飲み込むすべがない

港、汽笛も響ききて

 

かろうじて開けた窓からの

息吹を嫌味ととる性が

 

ほっと溜息チョコレート

歪んでしまったのはどうして

恨みつらみの世じゃないわ

誰か通りすがりに教えてほしい

 

言って気づく

誰も来ぬ

気づきたくない

臥せる身に

どうして魂までやられなければ

港、鴎の飛ぶ気配して

 

しめ忘れ流る窓からの

息吹を汲みとりすぐる性が

 

溶かせ鬱屈チョコレート

無茶なことに思い致すくらい

容易く行ける世じゃないわ

誰かそっと起こして教えてほしい

 

そっとなぞるチョコレート

あたたか季節が去ってでも

儚むだけの世じゃないわ

誰か全力で教えてほしい