ちょんと湯のみ置いて
去っていった子が
誰かしらに似ているねと言ったのに
さぁて何のことでしょと
そのあたりから怪しくなって
森も木も見えているだけで
この縁側も座っているだけで
そういう気になっているだけで
果たしてあなたはいるのでしょ
ぺこっと笑いかけて
去っていった子が
やさしやさし道を辿れますよに
どうしたそんなに優し者では
なかったはずの私も酔う
これは茶のはず
生きているはず
いつでも思いこみが勝る
感覚など信じるな
そっと笑いかけてくれた
あの子がもう
いない世に
泣くな泣くな
烏の声もして
いよいよ暮れよう
一緒に暮れよ
拍子をとって
歩けよ
じっと見つめる目が
あるよな気がしたなら
あの子も元気元気
よかったね
私があるかより
もうどちらにしても解らぬことより
よかったね
森も木もなく
あるかもしれないことだけ残し
摘んでおいで
好きに