月は時を悟って
去ってゆくほかなかったのだろう
思いの外
営みというものは
我慢と運命の上にある
耳を澄ませることなしには
気づけぬようにできている
また思いで括った顛末が
春か現か届くだろうか
思いを悟った天上が
応えてくれることもあろうか
じわりじわり
進まぬように見せながら
進む
月は円を描いて
そんなつもりもないのだろう
人の世には
営みというもの
説明しなければ気が済まぬ
声を聞かせることなしには
気づいてももらえぬのだから
また思い出話の力に依って
今を春よと生きること
遠ざかるもの遠ざかれ
追わずに地上で眺めよう
じわりじわり
進まぬように見えてなお
円を描く