おとのは ことのは

詩と曲を書いています。

誰を悲しませるでもない熱が

また熱が上がってきた

誰を悲しませるでもない熱が

背に溜まって

じわを首筋まで迫る

 

焼べる火も僅か

起き上がるには重く

あぁ

正しい生活とは何であったか

 

戸は閉まったままの

動かぬ部屋

 

命を仕舞うにつけ

頑固になっていった年寄りたちの

いたことを思い出す

あぁこんな胸であったかと

同意はできぬが

思い致す

 

自分が間違っていたなどと

口にすれば

途端、呼吸も止むのだろう

ああはなりたくないものだ

薄れた頭で考えた

 

まだ熱は上がっている

誰を悲しませるでもない熱が

湧き上がって

物言えぬ口にする

 

枕元の帳面に

殴り書いた彼是の

沸騰しそうな頭の

読み返せば

 

愛してほしい

愛してほしかったと

駄駄をこねる幼子のように

恥ずかしくもなり

 

あぁ正しい人生とは何であったのか

 

戸は風に打たれ

冬待つだけの部屋

 

自分が間違っていたのなら

巣食う熱も因果だろう

諦めもつくというものだ

 

まだ熱は上がってゆく

誰を悲しませるでもない熱が