おとのは ことのは

詩と曲を書いています。

崩れ待つ墓

墓は爛れて

いつ崩れてもおかしくないような風情

まるで今生のようだと

向こうに行っても

こんな不確かな箱か

 

柄杓に少し掬った水を

ぽとぽと落とす

気も抜けて

 

日差し恋しや

秋の夕

誰も目くれぬ石はただ

参る者のため建ちつづけ

風に爛れて

崩れ待つ

 

申し訳立たぬ

涙も出ずに

ただに世を咽ぶだけの子を

一時だけでも

恋しやと

思ってくれて有難う

 

日差し恋しや

秋の夕

誰も目くれぬ石はただ

晒されるために建ちつづけ

日々に爛れて

崩れ待つ