ベッドの脇に詰まれた本が
いつか助けてくれるから
日に煤けて傷まぬように
それだけ気をつけていて
5時のベルが鳴れば人は
家路とやらに就くらしい
それはそれは
嘆かわしい
なんて耽美なことでしょう
街の営みにはぐれて
何でもない飯を炊く
自分を満たすためだけの
冷たい床に倒れこんだら
そのまま儚むくらいの世
せめて物語の続きを
知るまでは此処にいなければ
9時にベルが怖かったのを
覚えている人いるだろか
それはそれは
輝かしい
なんと愚かなことでしょう
鳥の呼び声に紛れて
何時でも迎えはやってくる
何でもない飯を食み
癒されることなどは
望まなくもなった身で
一息をつなぐのが
なんと難しいことでしょう
7時のベルが鳴れば朝は
望めど望まねどくる中で