おとのは ことのは

詩と曲を書いています。

2024-11-01から1ヶ月間の記事一覧

一人月夜

月夜など 黙って背を向ける ただ放っておくことはできぬ 抑えきれない偏屈が やたら照らされる夜だ 遠い日に 饅頭を重ねて 風にあたり 歌を詠んだ 彼の人を思い出していた もうそんな頃合いじゃないのよ 分からなくなってきたとはいえ 今現代が違うことだけ…

海を見ていた

海を見ていた 人が美しいという海を 手前勝手に崇める海を 海を見ていた 誰も見向きもしない海を 昏さこそ彼女のもつ魅力でしょうに 海を見ていた かつて人が沈んだ海を 悲しみよりも万物への申し訳なさが 海を見ていた 歌う気になどなれないのに 旋律が湧い…

眠り落る病

浅いことしか言わないテレビの中の人が 特技は寝ることでーすなんて ファッションで言うのを見ると 腹が立ってくるもので なんなら物理的にしか解明しようとしない 医者にも文句言いたくなるもので ここまでくるとただの気がおかしいクレーマーだから 黙って…

嘆く個体

ずっと喉の奥に痛みがある 人並かそれ以上に風邪もひくし 季節の変わり目にも敏感だけれど そういったものとは違う気がする 時の病が流行る前からのことであるから 原因でもあるまい だけれど私という個体に 少しずつ色々な欠陥を認めるにつけ 認めたくなく…

折り合いと

完璧にいかないと 何もかもを投げ出したくなる悪癖が 病に似たものと知った時 少し腹に落ち だけれど直る気もしなかった 折り合いをつける、とは 完璧にこなす、より難しいものであり しかし人生というより 日々を生きていくということは 折り合いが求められ…

予後は病の前にいる

もう二度と戦をすることなかれ には遠く及ばないけれど 予後 どうかこれが文字通り 予後であってくれと願う あくまで個人的な 自己中心的な要望にすぎないけれど 病よ去れ できれば散れ たったひとつの心からだで 生きていかなければならないのなら それくら…

闇曳

苦しみの類は 苦しんだうえで実らなかった話は 表に出てこないから つい思い違いをしてしまうけれど 人が思い描いた大抵のことは 叶わない 叶わない 夢や希望を歌うなら 同時に絶望も示さないと 虚しさに打ちのめされてしまうよ やり場がないのは わりと皆そ…

明日朽ちても

明日が終るころには 朽ちていたとしても あなたを思いつづけた時間だけ 持ってゆくわ 明日が終るころには 身がなかったとしても あなたを追いつづけた思いだけ 置いてゆくわ 愛がすばらしいって言いたがる 世の中を穿って 愛なんて信じてない私が あなたを思…

2つの背中

www.youtube.com 2つの背中をずっと見ていた かなしいことにつまずいても 心安らぐ場所があれば どんなに楽に生きられるだろう 2つの背中を遠く見ながら ずっとずっと考えてた もう子どもじゃないから 本当はすぐに追いつけるけど わざと距離をとって ゆっ…

いつかの魂、いつからの魂

人間になりたかった魂は いくらでも いつまででも うろつくよ? たいていの人は気づかないから 気づかせるまで いるものよ? ほおら 幸せになりなさい いくらでも その影で ただ 見えもしない魂が 踊っているのよ 少しだけ見える者からすると 恐怖よね

人間になる前、人間になるまで

誰かが痛んでいる時に 我がことのように捉える 感覚が1ミリもないのよね それが欠点だと 自覚があるから 隠し通せる 術はあるから どうしても いつまでたっても なれなくて 人間というものに

不孝者になりまして

あなたが生きているうちに 恨みつらみも吐きたいけれど 早くいなくなってくれたほうが 正直こころも楽になる こんなことを思う自体が 不孝者かと自分を責めたけれど その時間すら重荷になる 大丈夫 間違ってない 何度でも言い聞かせよう 邪道でいい

後悔

後悔は 当たり前だけれど 後から来て 確実に喉の奥から 首を絞めてくる 生まれながらに重いなら あの時何ができたというの 目指すものも分からないまま 逃れることだけ考えて だからいいの いいと言ってほしいの

403

泣きだしたのは あの部屋が最後 必要よりも広かったけれど ずっと具合悪くしてたから 長い時間 横になって 物思いにした場所 起きて半畳 すらいらなくて ただ天井を眺めるだけなら 野原でも変わらなかったのにね 大声で泣いたのも あの部屋が最後

たとえばあの子が

日付に追いつきたくて わざと旅人でないふりをする それを匂わせるような人には 絶対になりたくないから 必死で隠す その過程も 誰も知れない だから 何も考えていないような少女を 舐めてかからないことね 人間見てる ところがある

きょうは いいひ

あなたがひとつ ならしたおとが せかいじゅうの どんなすばらしい おんがくよりも うつくしく きこえたの きょうは いいひね

本生の訓

あなたの誕生日を 覚えていたつもりだったのに 全く違う日だったわ ごめんなさいね いろいろと 生きている世が ごちゃついてくる頃よ 気合い入れ直しましょう 何だって 仕事でも 人間関係でも 物考えていない人に 苛立ってくる頃よ 仕様がないわ 歴が違う け…

灯り切るとき

様子見にすこしだけ 灯りを入れましょう 明日には埃たたき 詳らかになる前に 霊の気配だと 気取られてはいけないわ そうでない可能性を 存分に示しましょう 何も分からない から想像が走る 少し分からせてあげましょう 足音に気をつけて 進んでいきましょう …

空の一方通行

真夜中 貴方の声のするほうへ 身体ごと行きたいわ ねぇもう分かっているくせに この地に落としておきながら 心だけ曳くのは狡いわ 恋をするように出来ていると 人間をやっていて思うけれど 追う先に貴方しかいないのだから 苦しがること知っているでしょ 真…

仕様のない生命

心が晴れやかだった日など 一日たりともないのです 生まれてこの方 それが病だというのなら 私は終始 病なのでしょう 其れで済まされたくなくて ああでもない、こうでもないと こじ付けてみるのだけれど 結局虚しくなるばかり あぁ 世に馴染まぬ命もあるもの…

日陰のこころ

許された者にとり なんてことない日の陰が 許されぬ者にとり 世から弾かれる感覚と 愛された者にとり なんてことない言葉たち 愛されぬ者にとり 捨てられたような物見不安と あぁすべての色が変わるのは 喜びや高揚だけではないさ もうすべての色が変わるのよ…

愛情の先、愛情の手前

誰も愛情のその先など 求めてはいないさ 否、人様のことは知れぬけれど 少なくとも僕は 僕は愛情のその先など 求めてはいないさ 太古よりそれが当たり前だったとしても 少なくとも僕は 実感が持てない愛情の先よりも 求めて止まない愛情の手前 僕は愛情のそ…

秋の葉おもい

雲はまだ 光辿り 誰かのせいにもできぬこと 虹はまだ 姿見せず 空への頼りにならぬこと 秋はまだ 葉落ち知らず 陽気にのみて示すこと 遠かれば 思い出すのだと 思い違いをしていること

声無しに慟哭

あこがれて止まないあの人も 細かな悩みに苛まれているのだろうか 何方にしても知ることはできないのに 考え続けている 始発はもう行った だけれど街は動き始めない 開けたまま飲みきらなかった缶コーヒー 慣れないことをするからだ 部屋を汚すのは外気では…

守るということ

怯える彼女の手を取ることが 守ることだと思っていたけれど 続くささやかな暮らしの中で 避けられぬ痛みや理不尽を 少しだけでもぼやかすことが 大切なのだと気づいた 僕が 格好つくかどうかじゃない 彼女が 心穏やかにいられるかだ 戦時ではない今は特に 暮…

在るとも知れぬ世界の内で

たとえば当たり前のように この世は「ある」と認識されていて 「ない」もしくは「あるのか確信が持てない」者は 病に分類される けれど正しさを誰が決めた確かめた これは道徳の話ではなくて 実証できないものを どうして「ある」のが基準になっているのか …

歌とあなたの夢

隣で静かに座っている夢を見たの 間違いでなければ あなたの部屋の片隅で 寄り添っていたの もう忘れてしまいたい体温を 思い出したのか 本当にあったのか 懐かしいメロディ口ずさめば あなたもそっと声をそろえた その時が 出会いよりも愛よりも 嬉しかった…

生まれついた

どうしてみんな平気で 生きているのだろう ただ此処にいるだけで苦しいのは 僕一人だろうか 思春期を過ぎ 大人になった齢でも 引き摺っているのか そう生まれついたのか なんとか五感に頼って 整理しようとするでしょう それでも違和感は増して 胸の内に加え…

あなたの音が見える

あなたは私よりも力強い指で 繊細な音を奏でる 鍵盤の隙間に見えた 音を拾いたくなる もう泣いたのは昨日 日で言えば昨日 だけどまだ胸に持っている ずしり持っている 詰まりを 少しだけ溶かす

地暮らし

大体の悩みなんて 物語に出てくるような 綺麗なものじゃなくて もっとごちゃついてる 理想通りにはいかない、を 毎日浴びて 花が咲いたから 何だっていうんだ 元々荒んだ心だから 自分が危なくなっているのに 気づけないのよ 初めから異常者 いつだって違和…