おとのは ことのは

詩と曲を書いています。

2024-07-01から1ヶ月間の記事一覧

生きたフリの者

生きてるフリがうまいのと なけなしの金はあることが 下手に長引かせた今世 さようならの歌を幾つか覚えて 備えてはいるけれど 生きてるフリがうまいのよ 人間の擬態も 今のところ だーれも気づいていない さようならの言葉を 子供の時分覚えて 使うことがな…

線香花火おちた

線香花火おちた 当たり前に3つから知っている ことが悲しくなった たすけてほしい 愛より先に すくってほしい 夢より先に 線香花火おちた もう戻れないと思った

あなたに散りたい

どうせ朽ちると言いながら 長いものよね 暮らしというのは 雑念と雑務と 少しの高揚 どうせ朽ちる身だから 蔑ろにしてもいいけれど あなたを一目見てしまったら どうしても欲がちらつくわ どうせ朽ちる身だからこそ 贅沢をひとつ言わせて あなたに あなたに…

君が臥した夕

贄は1人とは限らないけれど 確実に君は当てはまる だから 出会った時から 覚悟はしている 薄い布団が 可哀想だと言うと怒る だから 役目だと定めだと 言い聞かせている 君が臥した夕刻に 僕も目を 閉じられればよかった

花火に行こう

花火に行こう 何気ない言葉で 君にとっての 月が綺麗ですね にあたると聞いたので 迂闊に言えなくなってしまったじゃないか いつも気だるそうにしていて 蒸す夜も嫌いだと 言いながら 言いながら 花火が大好きなんだって 心から離れなくなってしまったじゃな…

つぎはぎ

なんてふしだら 気難しの姫君 欲にうつ伏せ 彼の寝床 前世からの約束 怒り狂った愛 愛ならまだしも 一切合切飲んでやれ 君が望まなかった青 熱が出そうな夜に限って どうして眠れないの

校舎と砂浜(近い!)

白浜は焼けて 素足じゃ歩けないわ チャイムはもう うっすら聞こえるだけ 放課後の名残り もうない学校の 窓を眺める こちらからになるとは 砂粒つかんで さらさら手の隙間から 流し流されて 波も来るでしょう 放課後の心残り 言えない初恋の 日々を追憶 また…

キャンディづくし

けんけんぱ そろってグラウンドへ やきそば かき氷 どれにしよ ちよこれいと 虫に刺されて隅っこへ 爆竹 パラシュート どれにしよ やっぱりぃ あまーいキャンディ ほおばってたい いいよね今日は キャンディづくし あっつい日の中 走ったもん ずーっと一緒に…

貴方の情歌

畏れ多くも 歌にして 世界中で煌びやか 貴方が望んだことかしら 書では判断できないわ 優しさだけを 伝えたかったとして 争いの種 止まぬ咎 百年千年経っても 赦されることがあろうか 畏れ多くも 歌にして いいのかどうか迷うところ 綺麗に描くことが 不敬と…

海酔い町酔い

海酔いには 酷な町で 5時の鐘と一緒に帰る 知らぬ人は 綺麗だと褒める 青より透明より 揺れる船の 逃げ場ない苦しさが 揺れつづける監獄が 嫌で仕方なかった 閉ざされた町は 陰険で窮屈よ それでも海を愛でるなら 覚悟を持ってやってきて 放っていくことな…

ノートが好き

買ってきては 1、2ページだけ使って 捨てることになるノート 最近じゃ あまり売ってないらしい 罫線のシンプルな 好きなのに 好きなものは だいたい薄れてゆくもので 自分だって 塵やメモ帳に 繰り下げてしまっているから 惜しいものね 手に入らなかった …

此方の夏祭り

夏祭り 妖しさなど 秋に任せて 宵酔いの 裾曳き あの子は通せんぼ 風待ち あの子は箒星 夏祭り 引き戸の先 彼方と繋がる営みは 秋に任せて 夜酔いの宵

生きている意味も持たぬうち

時に追い詰められてゆく 何か成さなければ 生きている価値も ここに居る許しも 得られないと 刷り込まれたあの日から 随分日は過ぎても 何成すどころか 病の身 引き摺るだけでしょう 情けない またそれを 話す人もない 時に追い詰められてゆく 神様が見てる…

愛を放る

愛は遠くに行ったわけじゃないわ いなかったのよ 呼び寄せたって こんなに虚ろなのはどうして いやに鮮明なのはどうして 昨日を生きているような 明日を知っているような 愛は美しいものとは限らないわ 少なくとも私にとっては 誰かが愛でるならそれで 放っ…

宵嫌い

宵刻みは苦手よ よく皆は平気で 今は何刻 月どのあたり 歌い記してゆくものね ほんの少し揺すられたら ぎゅっと無くなって仕舞いそうな 柔な奴だから 宵が来るだけで 宵思うだけで 狂いそうよ そういう人も いたからね

ないないのつづき

思いどおりも 安らぎも 教えてもらっていないから 未だに探るよ いないいないばあ 我がで産んだ子に越されてく あたたかさも 許しも 教えてもらっていないから これから探すよ 鬼さんこちら 我がで見てる子に教えられ 華やかさも 苦しみさえも 遠い世界のも…

月のせいにして、いいのよ

月のせいにしていいのよ 心重いのも何かの性 空覚えのままでいいのに 刻んでしまう癖があるのね 鬼さん 鬼さん 明日には 泣き腫らしも止むでしょう 嫌いになってもう長い この地が蠢いているわ 月のせいにしていいのよ 思いすぎもボンヤリも 擦り付けるくら…

恋文

宵も蒸す 文月の頃 氷浸した茶を注ぎ 縁側には 線香と 昼間の砂ぼこり 似合わぬことは知っていて 綴り置きの 言葉を何とか 貴方に届けたくなる頃 その広い背に 凭れ預けた身を 今ひとり保つことが その強い声を 聞いて育った日が 遠ざかり残りを繰り返すこと…

あくまでも暮らし向きの話

革命と言えば聞こえはいいが 何かを壊す作るだけが力量ではない たとえばそうあるべきものを 守り続けるほうが困難なこともある 冒険と言えば聞こえはいいが 進む者だけが褒めそやされるのは違う その土地土地に居続けて ただただ暮らしを営むことは忍耐を要…

思考に生きる

思考は止められないけれど 他事で薄められるというのが 数十年の結論 吐くような溜りと 吐けない詰まりの 両方を抱えた 人間の定め 思考に生きれば 人生は他人より濃くなる 気もするのに 思考に捕われて 人生を他人ほど生きていられぬ 気にもさせられる 結論…

君を見ていた夏

恋いすがることだけは 得意にはなれなくて 君の背を見ていたの 夕焼けの中にいて 夏の香は海からも 強く来る町にいて 人の声気にしても 君だけは澄んだまま 恋い返ることもなく ひとりきり浸る午後 海風は例によって 厳しくも吹きつける どんなに世繋がって…

愛の困難・2

戦時であればまた 状況は違ったろうが 今は表向き 世は平和であり 愛を受けた者と そうでない者が はっきりと違いを見せる そんな頃合いにある 世は閉塞であろうと 物は足り 人が満ちた振りをすれば その落差に嘆く 愛を知る者と 知らず育った者が はっきり…

愛の困難

愛されたいなら 少なくとも そう口にしなければならんのだ ただ、愛を求めるということは 無償のそれが得られなかったからで 求める資格があるのか 自信がないので 口にできずに 下手すれば そのまま 一生を終えることになる

夏越はまだか

熱に噎せ とっくの昔に 迎えたと思っていた 札は揃い 町に翳し 溢れる飛沫と伸びる向日葵 地は固められてゆく 望んだはずが 捌けが悪いのね 日は高く誇らしく 此方は時代に左右されず 夏越はまだか もう呼んでいるか 暦通りも 遠く感じて 夏越はまだか まだ…

ハートとクローバー

煌めき空 今夜こそは 雨粒溶かして 来い来いの 思いやりも 澄んだ証も どんな轍もいらないよ 明日になれば閉ざす道の 今夜だけは行きたいよ ハートの隙間 贈りものは 歌と願いを詰めている 煌びやかに こんな飾りも 天の川越えて 恋い恋いの 思い過ごしも 過…

声が死んだこと

声がいちど死んだことを 誰も気づかぬほど黙っていた あれは14 遠きの夏 暮れに汗を拭き 下る坂の ぐらつくを覚えている 喉の痛みを 翳むクラクションを 光失ったわけでもないのに 僕の世界は閉じた 声がいちど死んだときに 誰にも言えぬままでいたから 元に…

空ときどきの軌道

空を見た人にとり それはまやかし 確かな軌道 空を背にただひとり 平和遠く 蹲るけれど それもまた人の世に 石投げるような 気分だろ 誰彼と愛せぬよう 空は人より 広くあろうと 誰も見ぬ地にひとり 残されたような 気になるけれど それもまた神により まや…

西日の部屋で

君の欠片でも持っていれば まるで生きながらえられるかの西日の部屋 好きなもの持っていけと 簡単に言ってくれるな 残された者には 過去を向くしかない 好きだった煙草 僕は吸えない 読みかけの本 元は僕のもの ありきたりのことになっても 言わせてくれ 君…

病と名

喉の痞え 身体の重さ 頭の痛み 心の錘 名前があると知らなかったの 世に言うものとは違うと思いこんでいた そうね 名を知れば だいぶ安心した でもね 名づけには 少々抵抗も だって比べようがないもの 私のほうが知っていることもあるわ 上手く付き合ってゆ…

思い出すだに 青春は

思い出すだに 青春は 痛いものだと刻まれて 懺悔の証 島に置いてきた 誰も拾ってくれなかったから 思い出すだに 青春は 純なものだと教えられ 乖離に悩む 年の頃の 背を誰がさすってくれたというの 思い煩い 青春は そういうものだと教えてよ 潔癖に酔い 妄…