おとのは ことのは

詩と曲を書いています。

時の正常

それは穏やかな日ざしの中ではなかったけれど

そっと抱きしめてくれた人があった

もしも幻でなければ

あぁ確かに伝わってきた

 

自分の生まれていなかった世界もあったろう

生きていなかったことも

それを思えば

なんて温かい

あの人の思いだったろう

 

だけれど

それを糧に生きていけというのは

少し酷に思えるよ

記憶は積み重なり

現実はひらり落す

 

もう目を閉じてもいいかな

まだだめかな

 

あの人が伝えたかったことを

ずっとずっと考えている

“僕がいなくても回る地球”を

必死で歌っていた頃だった

 

繋ぎとめてくれたのか

甘ったれるなと言ったのか

 

だけれど

確かめたくて問うことが

あの時できて今できない

そんなことは間々あると

知っていたはずの

 

もう知らなくていいかな

でもわかりたい

 

これが生きていく意味ならば

なんて浅はかなことでしょう

たった1人の恋しい人に

縋りつくような思いが

 

それは穏やかな日ざしの中ではなかったけれど

そっと抱きしめてくれた人があった

もしも幻でなければ

持ってはいけるけれど

 

片道は苦しい

時のいたずらでも何でもなく

時の正常

逆らえなくて

 

もう目を閉じてもいいかな

まだだめかな