滅多なことがなければ
まるで少女のような思い致しに
浸ること
なかったんだけどな
借りっぱなしのマフラーを
部屋の隅に追いやったけど
少しふれた手のひらが
冷たかったなって
思い返したり
あぁこんなはずじゃなかった
思い違いも
思い過ごしも
髪でも切って驚かせたら
此方は日常に戻れるとか何とか
そっと笑っていてほしいと
思えたのは初めてだった
しかめっ面の強がりを
笑って抱きしめるなんてずるい
ずっと大きな手のひらが
忘れられなくなるでしょ
あぁこんなはずじゃなかった
遠ざかりも
近づきも
怖くもなるってらしくない
口に出さないようにして今日も
ただね笑っていてほしいと
思える人は初めてだった