人の幸せなんて願ったこともないし
これからも願う予定はない
それに対して何てこと言うんだって
綺麗な信言がのさばるから
心やわらかな人が病んでゆくのよ
概して浅い人間ほど
声が大きいものだしね
春うららかに負けじと今日も
世の底からお届けします
澄んだ貴方の
狡い貴女の
耳には届かないように
まるで虫が這うように
今日も心貶めてゆきましょう
―死ぬよりマシよ
思慮深き心は
内へ内へ
何処までも広がってゆくものよ
分かったふりの奴らに何が言えるというの
明るく陽気な祭りなら
見てる阿呆で結構ですと
此方には此方の歌が
線を引くなと悟ったフリが
何を言われても負かされないわ
俯くあなたに届くように
澄んだ空と対極の地
今日も吐き散らして泣きましょう
―死ぬよりマシよ
庭には何も育たずに
自分の息を繋ぐので手一杯
丁寧暮らしがどうしたって
馬鹿らしくも思えるもの
腐った実の落ちるばかり
枯れた花の吹かれくるばかり
何だって掃きだめのように
人の幸せの裏側にいて
まるで死んでいるかのように
それでも声を殺さないでね
―死ぬくらいなら