おとのは ことのは

詩と曲を書いています。

待ち人の春

鳥の声がした

そんな気がしたけれど

文も届かぬ昼真中

野に起き汗をぬぐう

 

待ち人は会えた時

目の前の影に変わる

だから今は来ずともいいのよ

言い聞かせなければ保てぬ息

 

暦かぞえることだけに

すり減らしてゆきます

そっと包んだ腕の熱

忘れないでおきます

 

遠い北風も

思い出しているだけやも

文綴っても床に仕舞う

野よ花よに溶かそう

 

待ち人よ

私もまた大きな星の影の1つ

移ろいに負けて先に朽ちたら

放っておいてくれていいのよ

 

暦かさねることごとに

薄らいでゆきます

思い出すしかない声を

必死でたどって

 

暦すぎても来ぬ人は

いつまでもいとし待ち人

浮かぬ惑えぬ世の隅に

そっと思い出しておきます