分厚い窓の向こうから
ガタガタとざわついた夜
それが夜汽車か
はたまた雨か
知れぬまま息詰まらせる
終わってゆく命が怖いのだと
時押し迫るのが苦しいと
嘆いた日を思い返せば
まだまだ若かったろう
雑に積まれた昔の本
ひとつまさぐり手に取る
追えていないこの目では
それでも
ページ繰るふりをして過ごそう
分厚い窓を開ければ
容易く正体は分かる
そういうものを敢えて避け
怖がる癖がついている
愛着だ自己愛だと
パズル合わすように図星突く
泣けば済まされた若い日に
堪えた付けが今来ている
終わってゆく命が愛しいと
そんな境地にはまだ
ゆけない