騒がしい外国の映画を
片耳に収めながら
古い棚に手を伸ばし
頭にも入らずパラパラ捲る
拗ねた子
一度も海を渡ったことがないもの
とても大きなことに思えるのは
自分への矮小が過ぎるから
いつ癖づけてしまったの
身を捩れば
周り何メートルかのことは
どうにかなるだろうけど
泣き喚けば
大人になったとはいえ
誰か聞いてくれるだろうけど
簡単に渡れる今の世に
身を閉ざすのは心持ち様で
どうしてここまで追い詰められているか
自分でも気づかないくらいでしょう
考えこんでいると
具合の悪い風に思えてくるから
無理やりにでも音を文字を
冒険は要らないから
ひとまず映画を消して
身体ごと捨てたいけどそれは不可能
胸が詰まる疑似に晒されすぎて
常態化した
幾つになっても変わらない
ページ捲る指先まで震えているような気がした
拗ねた子