暮れかけた東の街
夏なのにやけに早いものね
手を引くこともできない齢
そっと見ているだけ
清廉な貴女が大好きだけれど
なんだか心配よ
少しのズルを覚えて
楽に生きていきなさいな
国道からひとつ外れれば
錆びた古い家々が並ぶのは
どこも変わらないものね
なるたけ大通りに沿いなさいな
貴女の暮らしが続いてゆく
手を離し目を離さないと
卒業式で誰か言っていたけれど
もうその時期も終わって
あとは心だけ賭してゆくわ
若い貴女はそんなのも忘れて
どうか自由に生きなさいな
人の道に背かなければ
少しくらい逸れても大丈夫よ
そういうことを教えるのを
忘れていた気がするから
日々に埋もれてしまう彼是
でも嘆くばかりじゃない
東の街は少し早く暮れた
そういうことが思えれば十分よ