好いた男の残した子だに
放るわけにもいかんじゃろ
夕飯拵える細い背を
只々見てた柱には
爪の跡が残ってね
咳の1つもするもんか
気は優しくて力持ち
なんて程遠くても
目指す思いは滾るもの
涙なんかは知らぬもの
好いた男の姿1つも
見せてくれはしないのか
それともできないものだろか
小さな頭で考える
ぐっと堪えた昨日今日
傷の1つも泣くもんか
七つ転んでまた起きる
そういうふうに行くんだと
知らぬ背中が教えては
うんと聞く子になりました
好いた男の残した子だに
放るわけにもいかんから
飯が食えるというものを
何を嘆くか細まい手よ
拭いてやらんと思うころ
届かんもんは
しょんなかたい