途切れるまで息をするのが
礼儀であるという
最後、一葉を数える
美しいとされる物語も
私とはつい
遠い世界のことに思えて
もしくは
遠い世界に追い遣って
構わず暮らしたかった
病室で見た
苦しがりを
目を背けたかった
最後の荒さを
知りたくなかった
自分に降るなどと
考えたくもなかった
生きてゆくとは
暮らしてゆくとは
終末に向かう行為だと
いつ事切れてもおかしくないと
思うには少々長すぎる
最後の予感にだけ晒されて
緊張しっぱなしは辛い
だから忘れたふりをして
馬鹿な野郎のふりをして
呆けてみせるさ
苦しまぎれの
生きるという行為だ