おとのは ことのは

詩と曲を書いています。

皮算用になればいい

もう顔も声も思い出せない奴が

いなくなったからといって

なんだっていうんだ

 

気にしなければ済む、は

世間の言だけれど

こちらはひとつ困りごととして

記憶だけは残っている

 

顔も声も忘れたとして

目の前にいると慄いたこと

物言えなくて詰まった喉の

 

感覚を

覚えてしまっている

 

だから弔いは

奴のためではなく

自分の平穏のために

必要な気もしている