澄んだ思いもなくすほど
心は赤く染まってしまった
恨みつらみを晴らそうと
鮮明な記憶と一緒にぶつけても
老いた身に鞭打つなと
死人を悪く言うなと
ならば此処から生きてゆかねばならぬ
心は誰が守ってくれる
秋だからまだ許される
紛れることができるもの
どうせ苦しい季節を過ぎた時
待ってなさいよ
そう言えたらいいけれど
可愛くないのは承知の上で
並木に身を投じてしまった
綺麗な黄であればよかったけれど
まだおぼろ赤や緑
過ぎた日を悔むなと
分からぬ者を諭すなと
ならば此処での葉風だけでふるえる
心をどうして守ってゆける
最低でも今日が終わるまでは
最高でも今日が終わるまでは
生きていれば知れるものか
また夢であれ
明日は野となれ
塵となれ