おとのは ことのは

詩と曲を書いています。

彼の日々に寄せて

読みかけて繰らなかった本に

怖さがあったの

入りこんで抜け出せないのは

予感だけでわかったの

 

ほんの何年前という

其方に行きたい気もしてる

 

本当に優しい人とは

なんだか腑抜けて見えるものね

気づくまでに暫くかかったわ

あぁそうかと受け入れるから

やわらかく出来ているのね

 

幾人かの物書きたちが

自ら彼方へ行ったこと

責める気になどなれなくて

今生で表す方が無いもので

 

ほんの数十年いることが

神経を冒すほどの毒になり

 

やわらかに生きゆく人は

飯を炊き己が足で歩き

季節の律義に添うように

つづら折りを日々に潰れず

続けてゆくものなのね

 

やっとの思いで閉じた本に

まだ抜け出せていませんと

正直に白状して

暫く呆けておこうかしら

 

優しい人にはなれずとも

此方にいるかぎりは

日々を折ってゆけますよう