雨音より先に
跳ねっかえりのアスファルトの湿りが
上ってきた
そうか
日に酔って干した洗濯物
せっかくだけど捥ぎ取って
また止む気配がしている
ひとつ向こうの空色
天邪鬼にとって世界は
どうしても歪んでゆくから
せめてせめて雨よ香よ
そのまま受けていたいと思う
たとえばそれが迷惑ものでもね
人の世界の彼是に
いよいよ心痛めても
長ぐつ履いて踏み出してゆく
残念なことに回る今日
勇み足でもないくせに
天邪鬼を標榜すれば
少しく紛れる気がしただけで
ほんとはただただ淋しがり屋が
たまたま今この地に堕ちて
雨音きらいじゃないなんて
格好つけすぎて言えないな
知らずに旅した始まりが
天だったでしょうきっと
元の場所からの便りと思えば
吸い込みたくもなるものよ
なんて数奇なことを計らい
日常にまた堕ちてゆく
雨音でも
その香でも
目覚めることができた今日