病は気からと云うけれど
そもそもの気が脆くてね
知れないでしょう
日暮れを直に浴びる人には
閉じてゆく人生を
虚しく思えるのなら
まだ救いがあるというものよ
景色は四角く
斜め上に聳える格子を
決して越えない
風は遠く
荒れ狂っていようが
恨めしいものよ
この身に落とせぬ者にとり
辛うじて聞こえる
町の知らせには
消える人あり
縋る人あり
時刻安んじて
歓びの歌を流す風情
夕七つ
雲色は重く
圧し掛かる色味で格子を
越えてくるもので
風は柔く
息していないのかしら
私のことかと見紛う
この身が朽ちゆく者にとり