友なき身は
愛なき身は
誰もそばに居ぬことに耐え
だけどそれが
過ちではないことだけ
願う世の中で
帰りの電車ふらついたって
誰の目にも手にも触れないまま
御伽話ではないから
擦れてく 薄れてゆく
自分の足で歩くんだって
ぐらついても 痛んでも
縋らぬことが行儀いいとか
刷りこまれた
友なき身は
愛なき身は
誰もそばに居ぬことに慣れ
だよね それが過ちとは
口裂けても言えぬ
今更に
始まりはいつだった
ぬくもりとか幸せとか
違う世界のことに思えて
日々暮らしは
這い起きても
何故こんなに綱渡りだ
どちらが先 距離を置いた
世捨て人と言えぬ癖の矜持
ただ1人の川渡りは
思いのほか すんなりと流れ
お前もかと落胆するほどに
心寄せた相手さえもなかった
電車に揺られ
うつろうさえ
連れゆかると紛う世の中で
愛を乞えば
過ちだと認めてしまうような気の中で
友なき身は
愛なき身は
誰に乞えば
誰に添えば