後ろ姿の似た人を
目で追った時がはじまり
夏のにおい
グラウンド見下ろした
胸が音立てて
叶うことない片恋を
何年続けることになるなんて
少女にはまだ
季節ではまだ
知れなかったんだ
後ろ姿の似た人を
探し始めた時が浸かり
夏の足音
雨も入りまじる
視界がぼやける午後
叶うことない片恋を
埋めて沈めて終われぬことを
思春期はまだ
チャイムでもまだ
気づけなかったんだ
雲が高速で流れてゆく
まばらに見えた青がやがて
大勢を得るころには
もう
夏の本格
隣を歩けば
思い出ができるたび
それが消えゆく
最後のものだと
知れなかったんだ