おとのは ことのは

詩と曲を書いています。

愛とどく


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毒が回るようよ

知らない毒が

夜泣き鳥も静まるころに

 

触れる肌には熱持って

何方とつかぬ手を取って

 

2人 野を駆けた少年が

いつの間に大きな背をしていたの

 

愛されるとは

こんなにも息詰まる

神も知らない贅沢な朽ち方

 

気を遣る情歌

夜風障る

昼時にも残るわ きっと

 

毒が回るようよ

知らない毒が

暁にも攻め入るよう

 

揺れる肩にそう 手を遣って

虚ろうつろの身を合わす

 

2人 世を避けた積り

灯りひとつの部屋

解けてゆく意識

 

愛されるとは

こんなにも息詰まるものか

波の引くような情歌

 

気を遣る野明け

揺り返し 道連れの熱

愛がもうとどく

 

回るようよ

知らない毒が

 

貴方の隣

果てるときは

貴方の隣と決めている

 

もしかすると

人の世では理になくても

 

歩幅合わせること

できないのに

好いたものだから

 

焦るほどに

遠ざかるから追い縋る

悪循環は

胸の中でどろり

 

生き意地汚く

傷つけられても

心痛めても

いいから、いいから

 

果てるときは

貴方の隣と決めている

 

遠い背

追いかけるには

君は大きな背中

世の影知らずの純粋が

どれだけ眩しく

憎たらしくもあったか

分からないでしょ

 

たまのたまに

男に生まれた人

此方だって

選ばず女に生き

 

焦がれるものに

名をつけようとすればもう

恋になる

 

だから

追いたくなかったのよ

遠くなること知っていて

だって

追いたくなかったもの

叶わないなら

 

気づかない方がましでしょう

 

思い出すにも

ついてゆくにも

遠い背中

恋の淡い日に

託けて少し浸らせてほしい

人と季の呪い

またあてられる人の気

凝りもせず賑わいの街へ

久しぶりの神宮前

坂を人が埋め尽くすのが

 

避けて歩きたいよ

あぁそういう奴だどこだって

負けて学ぶより

すっと消えておくようなさ

 

太陽は来て

気は冷えて

あべこべ名のつかぬ

季節の手前

 

入り混じって

混乱する

人の気

季の気

両方感じ取る定めのこと

 

歩き疲れて

帰り着いても

そこは本来の家ではないから

息もつけないのが

本当の意味で

 

もう本当に

呪われたもんね

春や呼ばじな

ぐやん続くね

あんたや養生して

春ん桜には間に合わんでも

とうじんなかちや

ならんごと

 

人の寄り合いの好かんとやろ

そいならそいで

よかたいね

好いたもんば

ようけ食べて

なんとか起き上がるっごと

 

ぐやん時にね

なんもせんがよかろでん

あんたの性分にや合わんとやろ

因果なもんね

あにげんに似とるばい

 

横なっちよかごてしとれ

泣きよっても

おらばじなおっても

春ん桜や来るやろけん

月ばかりの罪

痛みを覚えるのが先で

曇った眼を正すのを忘れていた

 

かといって日なかの一人歩きは

連れ立ちに不足あり

この世から浮ついている

どうしたって行き場はなかった

 

もう月しか

帰る場所はないのに

追いつめられたら

姫にもなれない

 

土曜の人波に酔い

春はいずれ着いて

わだかまりを持ってもいいから

家族が恋しくなったか

 

擦り付けたい

この世の者でない所為と

物語から抜け出せない

粋な振りした残酷を

 

月ばかり見て

恨みごとの降る

 

知らぬ汽笛が鳴る時は

夢に覚めても虚ろ時

眠り落ちても震う身に

故事に倣うまでもなく

どこにいるかは不確かで

 

高く隔てた壁の中

知らぬ汽笛が鳴る時は

思わずにいられよか

ひとつ確かにある輪廻

 

時を飛ばして数えてた

古い毒に育てられた身に

伝え噺をするまでもなく

いつにいるかは不確かで

 

凛と並んだ人の中

知らぬ宇宙が見える日は

思わずにいられよか

前に暮らした別時空

 

書きつければ

此処には残り

歌い継げば

節になっても

 

その知覚も

記憶も結局

突き詰めていけば不確かで

 

今目の前がぼやけるのに

知らぬ時代を生きたような

浮かれ別世を知っていたような

確かが迫る 其れ輪廻

水流れがあれば

水流れがあれば生きてゆけると

確かに思えた14の時が

大人びてると陰で言われて

捻くれてゆく音のした

 

海の綺麗に騙されないわ

大抵称える故郷の歌も

雁字搦めと引き換えでしょう

そっぽ向いて放ってやるわ

 

渡り廊下の緑に惹かれ

立ち止まってた訝しの子は

そうねこの世の優先順位

人と違うだけのことでしょ

 

風流れがあれば生きてゆけると

気も遠くなる14の時が

大人と子供の間に与して

崩れそうになる夢も見た

 

里の長閑に騙されないわ

なおも褒めそやす故郷の歌も

嫌い嫌いも好きになれずに

そうね文字通り捨ててやるわ

 

水流れがあれば生きてゆけると

そう思ったから橋を渡って

暮らし向きには手間のかかる

低い小さな家に住むのよ

 

地に足着けて生きてゆくには

自然と水辺のそばを選ぶわ

どうにもならない14の時が

いつまで経っても締めつけてくる

捨て場のない爆弾

捨て場のない爆弾をいつまでも

理解あるように見えてきた世にぼかされる

 

柵から解放されたいなら

己1人で身を立てる力が必要

 

暦だけ律儀

日捲りの空しさ

愈愈孤独どころではなくなって

暮らし向きの雑事に追われる

 

愛に酔ったふりなら僕にもできるけれど

どうせ刹那の出来事

 

人の誕生日を覚える癖

抜けない間にきっとあの人も逝く

仕様がないと思っている

 

捨て場のない爆弾があるかぎりは

綺麗な生活は望めないのだから

海の伝え

遠浅の影拾いが

得意呼ぶ暮れどき

ただに揺れ招く手が

本物かどうか

知らぬうちは

 

1人で海へ、行かんごて

 

夕焼け小焼けの鐘

素直に帰らん子供の

なんとか言い訳考えて

並べたとて所詮

浅知恵の界隈

 

呼ばれて海へ、行かんごて

 

躊躇いの放課後も

渡せない彼是が

積もって塵の山になる前に

せめて言葉だけでもと

球のように拾いに来る

 

放かして海へ、行かんごて

 

伝えは何も

美しの物語ばかりではない

古地図に

年寄りの戯言に

幾らでも浮いてくるでしょう

 

1人で海へ、行かんごて