おとのは ことのは

詩と曲を書いています。

偲ばざる客

嫌いな船に

嫌に揺られて

綺麗な海山にあてられて

弔いの振りをしに来たの

 

何も気や使わじな

一枚服の

なるたけ暗い色にしたごたる

 

唾吐き捨ててやりたいくらいの

鬱憤が

老いれば死ねば許されると思っている

手前勝手が

 

本当に吐きそうになるから

想像も憤りもやめておきたいけれど

殴られた壁

怒鳴られた部屋

直に残って

 

もう二十数年も経っているので

許す許さないの判断も

そんなことを俎上に載せるかも

此方で決めさせてくれ

 

奴からすれば父になる

その人が死んだのは冬

 

大雨の中

慕われたわけではなかったが

古い田舎の付き合いで

近所のもんもざまに来た

 

それに学んで今回は

家じゃなしに広い場で

送るのか

弔うのか

あんな奴を

 

もう10年以上経てば

余所もんたい

招かれてもおらんのに

血と義理で来た

 

自分の嫌われ妄想が

始まった

その原因の人間が

死んだのなら

もう自由か

 

偲ぶつもりもないけれど

振りはいくらでもできるのが

悲しいかな

この町で身につけたすべ