おとのは ことのは

詩と曲を書いています。

陥落

落ちた城は

人の興味が逸れてゆくまで速い

秋初めにぐんぐんと雲は流れてゆき

心情も追いつかぬに似て

 

あぁ空蝉の声もせぬなと気づくのは

人に言われるか

次の季節の冷えが来て

もう居なくなってからのこと

 

朽ちてゆく城壁

手を触れることも許されぬなら

其処此処にある色恋よりも

近からぬものであろう

 

忘れぬように忘れぬようにと

唱えるうち その事に力を使い

眠り落ちてゆくばかりだ