見捨てられ不安と云うらしい
そんなに詳らかにしないでほしい
船は日に1度来るけれど
去った人はそうは戻らない
多感に彷徨に忙しく
神も呼べど応えない
美しいとされた西の果てが
どれだけ不安の巣窟か
貴方は知らないでしょ
初めから在るべき場所は
此処ではなかったのだと
違う星から来た者と
言い聞かせて落ち着かせて
すると今度は
元居た場所に帰りたいだの
足が浮いて浮ついて
馴染まない魂が辛くなる
何処を取っても上手くはゆかない
季節と息吹だけは律儀の極み
その落差に持っていかれるのよ
この世で誰が気づいたか
波は見つめれば動くけど
ほったらかせば只の青
動悸に発疹に思わしくなく
神の配する域でもない
囚われて戻れぬ
連れて行ってももらえぬ
不安は何処までも来るらしい
其れらしいことを其れらしく
簡単に云わないでほしい