おとのは ことのは

詩と曲を書いています。

愛の不讃歌

愛が死んだ時に

私も一緒に果てればよかったのよ

どうして気づかなかったのかしら

逸した時が

ただ残り続けるだけだって

 

靄がかかった緑の電車

中途半端な終着駅

名を体で表してほしいわ

今なら何にだって噛みつける

 

手折れそうな体のくせに

 

美しく咲くこともなく

世を去るまで潜む者があると

誰も彼も知らないでしょう

 

愛が死んだ時に

同じく呼吸を止めていたらば

どうして思い至らなかったかしら

背も腹も痛い

永い余生が始まるだけだって

 

幾つも並んだ緑の電車

高架に消えてゆく人々

矛盾だけを孕んでいるのね

捻くれて見過ぎかしら

 

どうせ霞んだ景色だもの

 

中途半端に切った髪

結っても垂れる煩わしさを

話すあなたが消えた時

私も行けばよかったのね

 

神様に裏切られたことにしたい

愛と逸れたこと

私の所為でも思い違いでも

抱えてゆくには重いから

 

愛が死んだ時に

私も一緒に果てればよかったのよ