おとのは ことのは

詩と曲を書いています。

揺り起こす消えた花火

もう花火は消えてしまった

何も夜空の大輪を

望んだわけでもないのにな

捲し立てたくて

呼んだわけではないのにな

 

真昼間でいいわ

手持ちでいいわ

残ったおかずを持ち寄って

ささやかゆく日を送りましょう

そんな望みも潰えるか

 

無邪気幼な子には譲りたくもなり

これから幾つもの日を持つなら

渡したくない

そんな思いもあり

 

消えてしまってからが花火

慰めの呪符は無限にあって

頼りたく

押し殺したく

定まらぬまま床は冷え

 

もう命を消してしまった

不器用でいいわ

投げ遣りでいいわ

どんな御託を並べても

川底の君

届かなかったこと

 

朽ちてしまってからが命

そんなわけあるか

喰らい付きたくもなって

溺れたく

生きたくなって

夢想に揺れる床は古びて

 

長引くほど意地汚くも

消えた花火を追う思いも

1つとして叶わぬまま

床は冷え

 

消えてしまってからが花火

なんて綺麗なこと言うの

託したく

振りほどきたくなるでしょう

定まらぬまま冷える床