おとのは ことのは

詩と曲を書いています。

海の花

古い船はひどく揺れた

物語のようにはいかないと

知っていることが強みになった

 

故郷に帰るとは

あたたかいばかりではないはずだ

そういう者がいることを

我が身を以て知っている

 

甲板には

客室が馴染まない者が立つ

どうせ揺れる

どうせ酔うなら

 

身を落とすまでもなく

空見上げるほどでもなく

船進む先をぼんやりと

眺めていよう

もう我が知る土地

 

余所から来て

ちょろっと住んで

ぶっている者があるのなら

それも放っておいて

 

地に足着けて得た

苦しみを閉塞を

ただただ持ってゆくのみだ

 

まだ荒れる

きっと揺れ続ける

それを知っていることが

嫌でも強みになった