夏はじめの蒸しに
越す水浴びに
移り変わりを思い乍ら
浸りたい今日この頃です
どれだけ頭を働かせても
日々働き食ってゆくには
気力体力が肝要なのだと
思い知るばかりです
均衡を保つだけで
その振りだけでも
疲れ果て
何も成せぬ身が
また手折れるように眠る
夏はじめの高鳴りを
夏越しの胸音を
ことばに記しているだけでは
許されぬ暮らし営みです
どれだけあちらと交信しても
こちら世界で生きてゆくには
郷に従う力問われると
実感するのです
人形で遊ぶように
操られている気がしても
その実
神はそんな暇でなく
また無力に倒れ眠る
夏夜の風流をうたうのは
来世に取っておきます
ただ気も体も弱き身で
だまし騙しに季節を越します