治りかけの風邪と凪の色
燃え落ちてしまえばいいと願った家が健在
歌われて満更でもない海前
嫌でも島には島の風がゆくばかり
あぁ誰か早く気づいて
美しいものは
苦しさ古さを孕んでいると
あぁ誰も彼も褒め称え
此方を追い詰めないでおくれ
そんなに綺麗である必要はないのだと
そんなことより本日も不定愁訴
押し殺すように仕込まれた精神
重なり重なれば
人ひとり生きるのも困難にする
そんなこんなで今日もまた
何も成し得ぬだけのこと
指先の皮を剥ぎ
脱ぎ捨てた服も畳まず
箸もまともに持てぬ娘が
明日の行方や神の在り無を語るなと
何もかも滑稽に思えた
力の入らぬまま凪の色
朽ち果ててしまってもいいと願た体が継続
歌うほど縋りつきたくなる海音
穢くとも島には島という付加が
増すばかり