何の理由もいらないから
生きて、生きてと歌う彼の
背に何が掛かっている
腹に何を抱えている
痺れたままで全身が
鉛のように在るのだけれど
それでも、それでもですか
言うなりになる
崇めるけれど
どこか疑いたくもなる
わけも無しに耐えられるものではない
生きていてもいいのなら
死んでいってもいいんじゃない
何かしらの倫理に反することは
うすぼんやりと知っているけれど
決して腹に落ちているわけではないから
生きて、生きてと繰り返す彼の
思いが届いたとは言えないけれど
それを繰り返し聞くうちに
一日が暮れることもある