おとのは ことのは

詩と曲を書いています。

秋日の汽車

飛び乗った汽車の

煙に霞んだ

揺れる緑を見収めた

 

君は手を振ることもなく

じっと立っていた

お互いの精一杯

 

汽笛が覆い被さって

 

旅立ちは思うよりも

先に始まってしまうもの

あぁ何も見えないのに

戻れぬことだけ分かるもの

 

進んでゆく道

慣れないな

座っても収まらないな

 

君の後ろちょこちょこと

ついて回るだけだった

草むらと花びら

 

こぶし握る間に遠ざかって

 

思い出はずっと後で

涙にじませて描くもの

あぁ今はこの目をちゃんと

開いて見てゆくもの

 

忘れもの あったかな

いくらでも見つかるだろう

思いの消し方も留め方も

知らないままで

 

旅立ちは思うよりも

先に始まってしまうもの

あぁ何も見えないのに

戻れぬことだけ分かるもの