おとのは ことのは

詩と曲を書いています。

0301の記憶

綺麗な歌を歌う人

憎たらしくてならなかったな

光の中から見ていたら

さぞかし市井は疎かろう

 

石に布団は着せられぬ

押しつけがましく諭す人

何があったとしても、の

その何が所詮許せる範囲だろう

 

道すがら優しい人

別にこんな小娘を邪険に扱ったところで

なんの損も得もなかろうに

どうしてそんなに清らかで

 

何をとっても文句を垂れる

だから幸せになれぬのだと

放っておいてくれ

捻くれ者にはそれなりの

生き方があるのだから

 

綺麗なベベ着て

綺麗な歌を歌う人

憎たらしくてしょうがない

 

あぁ幸せなど手放してやろう

その前に

寄っても来るな

 

真夜中0時か

地下鉄の入り口で

泣いてしゃがみこんでいた

息もうまくできなかった

声をかけてくれた貴女は

確かに優しかった

名も知らぬ人

ありがとう

 

嫉妬と意気地に一生を

吸われるところだった

言いながら尚

 

綺麗な歌を歌う人

憎たらしくて

それでもさ

 

やわらかな記憶を幾つかだけ持って

小さくていいから

後生大事に持って

幸せになどなれないけれど

捻くれ者もそれなりに

生きてゆかねばならぬのだ