おとのは ことのは

詩と曲を書いています。

春待つ冬の通り

また喉の痛み急に来て

寒よ暦よと取り出せば

虚しくもなる

湯につかり

溺れ死なぬことだけ心す

 

こんなに難しかったろか

桜並木に惚れて通った

中野通りを恋しがる

 

春待つその冬を訪ねたい

なんとささやかな願いが浮かぶ

明日にでも飛んでゆけるかな

現実、電車に揺られれば

行けるはずの街並みが

あぁ遠い楽園に思えてならない

 

ただ花びらが鞄に舞い込んだ

しばらくして気づいてしまった

もう戻れないところまで来た

なんと大袈裟な星の上

 

思えば運命だったろか

桜並木に惚れて通った

中野通りを

生きているうちにもう一度

 

春盛りにはいられない

せめて待ちわびる凍てつく中でも

明日にでも飛んでゆけるかな

現実、いつでも生きた街並みが

あぁ遠い楽園になる前に

 

春待つその冬を訪ねたい

次点だなどと蔑まないで

春呼ぶ

あぁ冬まで恋しいと

思わせる桜並木の記憶

 

虚しくもなれ

中野通りをいっそう恋しがる