おとのは ことのは

詩と曲を書いています。

きおくの関

致し方ないことで世はできているのだろう

坂を下った先にあたたかい背が待っていなかったのも

一度たりとて此処にいていいのだと思えたことがないことも

 

嘆くなら平気得意で

頼まれてもないのにさ

 

ふと思い出した

綺麗な夏とはかけ離れたものだけど

何でもない平地で足がつって

もしそれが海の真中だったら

 

どうってことないけどね

生きてはいないだけだよね

 

儘ならぬようにできているのだろう

外に苦しいことあっても内に入れば息つけるという

それが偶偶自分には当てはまらないだけだろう

 

眩さと遠く離れて

暮らすこと慣れて数十年

 

ふと思い出した

うまく声が出せなくなった時になぜ

碌に話もしなかったのに

つぶやくように歌っていた

 

すべて削いだ時に残るのは

私を生きるための術

 

言い聞かせれば魔法も残酷も

この手に入る…はず

 

まだ思い出せる

三つ子の魂とはよく言ったもので

珍しがられるくらいにね

何から何まで抱えているからね

 

得意気に言うことではなくても

私を生きる真中だからね