弓を引くまでに悪い夢を
何度越えてきたの貴方
空にぼんやりまあるい月のせいよ
いのち途切れることを知って
急に怖くもなったのね
来年の夏越もいられるかしら
風はやまない
空の果て
貴方のこと
誰もが忘れてしまっても
必ず胸に置いておくわ
安心しておやすみ
便りもせず己責めないで
こちらは大丈夫よ
罠にかかってその足で
何度踏みしめてきた大地
染入る雨が罪つくり
ただそれだけよ
ぱっと途絶える脈の先に
なんにもないと感じたのね
穏やかな夏越も消えゆくかしら
地も答えない
遠い町
貴方のこと
誰もが忘れてしまっても
呪文のように刻んでおくわ
ゆっくりとおやすみ
伝手ないことが余計に
思い出させたりもするものよ