おとのは ことのは

詩と曲を書いています。

勝手に仲間意識を持って、勝手に「裏切られた!」と恨む身勝手さ

(※漫画のネタバレあるとです。)

学生の頃、『フルーツバスケット』の依鈴ちゃん(リン)に、これでもかというほど共感していた。

フルバに出てくる親は大体クソだけど、中でもリンの両親は「え?ウチの親がいつの間にそこに!?」と目を擦るほど似ていた。

リンはいつも具合悪そうにしてて(この時点ですでに仲間意識MAX)、入院中に透から食べられるものは?と聞かれて「ゼリー」と答えた時は心の中で握手した。
皆を苦しめていた問題が表向き解決して、他の人が何だかスッキリした顔で前を向くのを見て「まだ許せない私がおかしいの?悪いの?」と泣いてた時は「いや悪くないよ!分かるよ!そう簡単に煮えきらないよね!」と漫画に向かって喋りかけた。
自分の状況と重ね合わせて、リンにだいぶ感情移入していたが、1つ決定的に違うことがあった。

「春がいるから大丈夫。」
リンにはとっても優しくて愛情深い春(彼氏さん)がおりまして。春がリンの親に対して「リンに謝れ!」と叫んだ時は、感動しつつも「あー私にはこんなふうに救ってくれる人いなかったなー」と捻くれてしまった。
そうか、春がいるから大丈夫なのか。よかったね、私には春がいないけどさ(石ころ蹴る)。
そういえば、そもそもリンは妖艶な美人さんだった。勝手に同類気取ってすみませんでした。

フルバで言うと真知ちゃんも。
「何色が好きか聞かれても分からない」のくだりは首もげるほど頷いた。けど真知にもそれを理解してくれる人が現れるのでした。さよなら(涙)。

別の漫画の話、『花の名前』では、作家に共感していたけど作風が変わって納得いかない、と文句言う男の子が出てくる。言ってることはすごく分かる。重暗い仲間だと思ってたのに、少し明るい方へ行かれて、置いてかれた、裏切られた気分になるんだよね。

共通点があって、仲間意識を持つのは自由。
でも私自身もいろんな要素でできてて「こういう人間」と一言で表せないように、他人も一面だけでできてないし「100%共感できる人であってほしい」は願望の押し付け。
他人と自分は重なる部分はあっても、そもそも違う人間だという当たり前を頭に叩き込んでおく。辛さも暗さもグラデーションのように少しずつ違っている。
それでも「あーそうかい、結局お前さんもそっちやったんかーーいっ!」って感情は湧いてきてしまうものだけど。

※とにかくフルバは登場人物が多く、どの人もどこかしら共感できて面白いです!