そこに海があることを
恵みだと祀る人
食う寝るところに住むところ
すべて水流れが中心にあり
そこに海があることを
祟りだと嘆く人
決して敵わない力を持つ
怪物も事実も飲みこまれてゆく
そこにない海を呼ぶ人
美しいと讃える人
たまに見る分にはいいけれど
それは人の世にも言えること
あぁ何をわざわざ
呼ぶことのある?
呼ばれてもないのに
来ることのある?
海恋いしと歌う人を
詰るほうが異常だろうか
だけれど聞いてほしいのよ
本当の怖ろしい声をね
海を呼ぶなら覚悟を以て
共に生きるなら共に沈み
凪に和むならざわつきも貰い受ける