おとのは ことのは

詩と曲を書いています。

さかさ花火

季節はもう

寒をきわめて

ただ探し縋りつく

ぬくもりだけに

 

忘れてしまいそうな

真夏の暗空

どうして今

そのまま浮かんだ

 

そうだ

僕はそういう人間だった

忘れるわけない

そういう人間だった

 

花火は散って

うつくしく逝って

それを綺麗と讃える人を横目に

 

僕は走った

1人で帰った

くだらない

あんな綺麗なもの

 

ずっとなんて見てられっか

 

手あたためるだけで

息つくだけで

あぁ大いに冬だという朝に

 

何もかも真逆な

鮮やかに散り音

揺れた地面も

そのまま感じた

 

そうだ

僕はそういう人間なんだ

忘れることできない

そういう人間なんだ

 

クソくらえは簡単だけど

あんなコントラストを魅せられて

 

田舎の昏さの

その恨めしさの

こんな綺麗な使い方が

あるんだと

 

こんなもの正気で見てられっか

 

宵通しの

思い過ごし

覚えているつもりの

記憶だったり

 

隣同士の

あの子ももしかして

只の一時の帰りかもね

 

花火は残る

散っても逝っても

それをまだ目に残す人はどれくらい

 

僕は走った

1人で帰った

くだらない

あんな綺麗なもの

 

見てなくたって

思いだせる

苦しいくらい

季を突き抜けて襲ってくるんだ

 

あんな綺麗なもの

いつまでも見てられっか