自分が生きるために縋ったこの人は
正しい人だと思いたい
そんなバイアスがかかる
そして鮮やかなまでの裏切りね
自分が育ったこの大地
正しい息吹と思いたい
何度も言い聞かせる
どして風に反して陰険な
傷ついても傷ついても
信じ続けた純粋が
今になって今になって
もう誰も信じられない種になる
近頃じゃ毒だなんだって
お盛んなことね
自分を理解したいと思いながら
簡単に語られたくないものよ
私が泣いて縋ったこの人は
優しい人だと思いたい
どしたってバイアスがかかる
それに気づきにくくて
薄々わかってても認めたくなくて
幾つか必死で美化した断片を
繋ぎ合わせて思い出に
無理があっても無理くりに
愛を受けた錯覚を
欲する場面も来るものよ