おとのは ことのは

詩と曲を書いています。

色なき恋

その背を見つけた時

信じなかった情というものを

はじめて胸に置いた

誰にも言えなかった

 

世界に色のつくと

はるか昔の人もうたう

目で追うだけで精いっぱい

何色かも覚えていないわ

 

誰に伝えたところで

遠ざかるもの

遠ざかるもの

 

海辺に暮らせば

穏やかは

遠ざかるもの

遠ざかるもの

 

離れてゆくだけを知る

惹かれてゆくことに抗えぬ

 

惨めと表裏一体

罪人の恋は

靄が掛かって

色も知れない

 

その背を追いたくなる

許されぬと決めてかかる

およそ少女の思考ではないと

今なら笑えるでしょうけど

 

胸から喉へと

詰まる詰まるこの苦しさは

そのまま恋だと

色なくても言っていいのかしら

 

海辺に居れば

遠ざかること

知っているもの

 

その背を見つめた時

確かに高鳴ったと覚えおくだけ

 

泣き暮らさぬよう

遠ざかるもの

そっと留めておくだけ