敗れたわけでもない夢が
追い立てるように
彼を西へと向かわせる
時代錯誤もいいところ
人はもう一個人を生きていいだろうに
敗れたわけではないからも
言い聞かせる窓に
景色は懐かしさへ近づいて
彼の首を絞める
眠りには落ちることできないな
一度は叶った恋なのに
堕ちてそのまま
彼女を西へと向かわせる
もう甘いものも入らなくなったし
いいのよ潮時と
でもねそれは同時に女の戦いの時
言い聞かせる背は小さくなってゆく
微か写す窓に
景色は浴びせられる言葉も思い出させ
彼女の背を縮める
肩身狭いとはこのことか
西へ向かう者たちよ
革命だ進歩だと勇む足も
錦飾ったと振る旗も
生憎持ってはいないだろう
西へ向かう者たちよ
弱った時に繋ぐ最後の
1本の糸まで切れぬよう
必死で堪えているのだろう
敗れたわけではないのだと
田畑に寄って云うがいい
叶うはずの恋だったと
雨風につけ歌うがいい
西へ向かう者たちは
何時でも生きてゆく勇者である