おとのは ことのは

詩と曲を書いています。

夏越

また覚えのない痣の広がった

夏越は一筋縄ではいかないみたい

ギーギーとけたたましく

命上げる蝉たちも

 

ゆらりと一生思うには

差す日が強すぎて

見えないよう

 

越すために迎える夏を

聞き憶え忘れた歌を

汗まみれ乗り遅れても

いつか着くよう忘れたんだよ

 

冷えた西瓜の甘みに頼る

夏越は思い出に縋りがちだから

さめざめと泣くわけにはいかない

人々も

 

ふらと世を儚むには

鮮やか過ぎる色花火が

引き留めるよう

 

越すまでに覚えた歌も

一瞬で消える縁も

盆時に帰るあなたも

皆つつむよう覚えたんだよ

 

傷つく暇もないわ

昼も夕も忙しないものね

 

越すために迎える夏を

聞き憶え忘れた歌を

夏越は儀式のようで

あなたをつつむだけだよ

 

ただ霞む景色の奥で

涼しさを呼ぶよに連れて

夏越はやさしんだよ

聞き憶え忘れた歌も

 

いつか着くよう忘れたんだよ