おとのは ことのは

詩と曲を書いています。

雨の今日を歩こう

久しぶりだね雨

花柄のワンピース

それでも着てゆくよ

いいよ裾を濡らして

笑って

 

思い出さなくてもいいくらい

今日1日だけを歩こう

知ってた?

君とならそれだけで

 

傘は1人1つずつで

背伸びしたらそのまま

つまずいちゃうでしょ

いいよ子どもじみてるって

笑って

 

通りすがりの人の目に

どう映るかわからないけど

知ってた?

一緒にいるとそれだけで

 

思い出さなくてもいいくらい

今日1日だけを歩こう

知ってた?

君とならそれだけで

春生まれの人

大きな背中を追うときに

少しだけ喉が痛くなったの

言えなかったから早足で

必死で追いかけたもの

 

右腕つかんで離さなかったら

逆に嫌われちゃうかな

 

となりどうし

それは夢のように思えて

ぼっとするよね

どうしても見失いたくない

その一心で声をふりしぼる

 

聞こえてほしい

春生まれの人

 

思い違いと思い過ごしで

だいぶ時を無駄にしたけど

生まれ変わるのを待つよりも

生きているこの時に会いたいもの

 

敵わない優しい声を

少しでも胸に残したいの

 

となりどうし

まだね夢の中を生きてるように

思えるよね

やわらかに日差しもあれば

このひとときに胸も詰まる

 

聞かせてほしい

春生まれの人

 

もしも恋だと気づいたら

そっと嫌われちゃうかな、なんて

 

となりどうし

それは夢のように思えて

ぼっとするよね

どうしても見失いたくない

その一心で声をふりしぼる

 

聞こえてほしい

春生まれの人

 

あぁ敵わない

その声を

聞かせてほしい

春生まれの人

合図

夕方のチャイム

大きく響いた

通りの良い田舎町

けんけんぱ

終わらないから

そのまんま帰ってもあいこ

 

じっとしてられないけど

隠れたいよな気もするのは

 

物を知らない子だからでしょうか

知りすぎて生まれたのでしょうか

子どもだからと見くびっていたら

何生分か置いてかれるよ

 

だから、じっと、

合図を待とう

 

裏戸口から入っても

大きな声で呼んだらいいよ

続き道の田舎町

るんたった

歌ったらもう

声を合わせた分だけあいこ

 

覚えてもいられないけど

思い出しちゃう気もするのは

 

感覚のない子だからでしょうか

感じ取りすぎて見失うでしょうか

小さな体見くびっていたら

何生分も見失うよ

 

ほらね、もうね、

合図はあるよ

雑踏と雑念

意地は悪かろうがあったほうがいい

ただ笑ってるあのコに嫌気もさして

でもこれじゃ幸せにはなれないな

上等だ

拳振り上げたまま

死にに行ってやる

 

雑踏の所為じゃないでしょ

例えば田舎町にいたって

渦巻く熱は

黒い心は

そう簡単には変わらぬものよ

 

何処に言ったら大丈夫

そんな魔法はないからね

 

海に歌うような無邪気さを

前世に忘れてきたかしら

できれば優しく柔らかく

ありたかったけれど

幼心に忘れたかしら

 

葛藤の続く中でも

咲いた花はかなぐり捨てて

知らん顔で

大口たたく

そう生きたっていいものよ

 

回る地球を

回す地球を

好きにしたっていいものよ

昭和のエレジー

優しく触れてくれたなら

愛だと思っていいかしら

投げ捨てられるの怖いから

まだ信じなくていいかしら

 

西日の差せば

暮れの合図と

誰が決めたの

待たなくていい

 

やたら騒がしい街の隅

日曜ももう終わるのに

愛してますか

そんなことを聞くのは

憚られて今夜

じっと息を殺します

 

ただ手を取れば

繋がるなどと

心はそんなに単純じゃないでしょ

 

人も静まる街の隅

何日何曜も知れぬほど

愛してください

そんなことを言うのは

憚られて今夜

じっと身を預けます

かおるポラロイド

記憶を辿るまでもなく

舞い戻るあの日あの時が

責めてくるような気がするね

もう今日は泣いたほうがいいかもね

 

どこにやったかポラロイド

探すか忘れるかしかない模様

聞き覚えのある声に

振り返れば落ちるだけ

 

街は人波も忘れて

じっと暮れてゆくばかり

 

連れてゆこうか

置いてしまおか

馴染まぬ星の思いをひとつ

数え数え

なりすます

感情がある者になりすます

 

旅はやめたはずでも続いて

始めたつもりがなくても

旅の中にいる

 

追いすがろうか

かっこ悪くて

吐いて星への思いをひとつ

なぞりなぞり

立ちつくす

流れるようにできている中で

 

どこにやったかポラロイド

初めからいなくてもいいような

自分をなぞり遣り過す

違わぬようにできている

沈みこむだけ昼日中

綯交ぜの心を持って

街に出るのは気が引ける

さして用ごともないのに

気にあてられてくるだけだと

知っていて

 

すがるような

思いがあるのはなぜだろう

 

ついてゆけぬ気がする人並み

生きてゆける気のしない世に

浮き浮き浮くことすらできず

沈みこんで昼日中

 

渡る橋は

優しさを託すものでしょう

 

立ち止まればどこにも行けず

歩き出せば弱き体は朽ち

ふらふらと遊ぶこともできず

世は遥か遠くにある

 

ここにいても

 

ついてゆけぬ気がする時流れ

生きてゆける気などしない世で

浮き浮かれ我失うこともなく

沈みこむだけ昼日中

 

只に酔っても昼日中

春の陽だけがある部屋で

古い歌を教えてくれた人を

ただのその一事で

愛し続けなければならないのだろうか

なんて呪いだ

 

やがて

世は思うより緩やかで

息をついていいと知る

温かな人は幾つあっても

上書けるほどの思い

受けることもなく

 

記憶は残り

皮肉にも

歌の好きな子はそのままに

年老いたという手紙に

責められたような気になって

 

誰か庇ってくれないかぁ

春の陽だけがある部屋で

 

ものを憶えていることは

得意事のように言われるけれど

忘れることがよっぽどの

羨ましさだ

 

はるか

遠くからつながる命に

思いを馳せなければ

私というものが立たぬなら

斃れて死んで結構と

書き残しても見つかるか

 

記憶は宿り

憎らしく

朗らかと暗黒を同居させる

年老いたらそれで許されると

思う心がこすかよね

 

誰かわかってくれないかなぁ

春の陽だけがある部屋で

 

手紙は捨てていいでしょう

どうせ苦しく宿る世を

誰が分かってくれなくても

春の陽だけはある部屋で

春のブランコ

揺れてブランコ

遠慮はナシよ

今日くらい好きに歌ってさ

三寒四温の真ん中で

薄着を後悔

身軽を褒めて

 

ずっと待ったような気がして

そのまま言っていいかな

 

君の背が見え隠れ

私じゃ敵わないとても

好きか嫌いかじゃなくて

この時間を過ごしていたい

 

ゆらりブランコ

少し北風

笑っちゃうね

それでも歌ってさ

思い出づくりを決め込んで

なんでも後悔

やけに怖いね

 

1人でいるなら見るだけの

景色が過ぎるのを

掴まえたくなって

 

君の背は大きくて

すべて預けたい気にもなるもの

好きか嫌いかなんてもう

決まってるじゃない

 

ゆらり揺れても

 

君の背が見え隠れ

私じゃ敵わないとても

好きか嫌いかじゃなくて

同じ時間を過ごしていたい

さびしがり

さびしがりを隠してずっと

慣れたような気がしていた

煩わしい思いするくらいなら

1人でいいよ

それはほんと

 

春の陽が

追いやる季節を

好きだったとは言いづらいな

 

愛だの恋だの言ってる間もなく

この脆い心支えなければ

さびしがりによく効くもの

その辺に落ちてないって知っている

 

駅の中まで

染み入って春を

見なければいけないんだろな

 

愛だの恋だの人の歌えば

またひとつ壁を覚えるもの

さびしがりはもっと深く

生きてゆくすべを求めてる

 

さびしがりによく効くもの

その辺に落ちてないって知っている