もう堕ちる寸前の
うつろうつろには
夏夜の湿った空気が入る
そっと髪を撫でてくれることが
愛してるより嬉しいと
あなたは知らないだろうけれど
布団を深くかぶって
この世の恐怖をすべて避けた
記憶がどうしたって
逃れられず夢に見る
悲しい人生に添える手が
どれだけ温かいか
あなたは知らないだろうけど
これから幾つのものを返せよう
私が消えゆくまでの月日を
知らぬまま添ってくれる人へ
そっと髪を撫でてくれることが
愛してるより嬉しいと
あなたは知らないだろうけれど